大豆イソブラボン:食品安全委員、取りすぎに注意を促すが・・・
2月下旬、内閣府の食品安全委員会が大豆に含まれる大豆イソフラボンの取り過ぎに注意を促す評価結果をまとめた。健康によいとされる豆腐やみそなどの大豆食品が体によくないのかと受け取った人もいるようだが、食品とサプリメントの違いなどをきちんと理解しておきたい。【小島正美】
大豆イソフラボンは大豆の胚芽(はいが)に多く含まれるポリフェノールの一種。糖のついたタイプと、ついていない吸収されやすいタイプ(アグリコン)の2種がある。女性ホルモンの働きを補ったり弱めたりする両方の作用をもつ。乳がんや骨粗しょう症などの予防効果があることから、大豆イソフラボンのサプリメントは健康効果を表示できる特定保健用食品(トクホ)になっている。
厚生労働省の諮問を受け、同委員会は2年前から、文献を集め、トクホの大豆イソフラボンを過剰に取った場合の健康影響を評価してきた。
その評価結果(表)の主なポイントは(1)1日あたりの上限摂取量は70~75ミリグラム以下(2)妊婦や子どもには摂取を推奨できない--の二つだ。
◇目安超えても危険ではない
上限量の根拠はイタリアの研究報告などだ。閉経後の女性が1日あたり150ミリグラムの大豆イソフラボンを5年間、摂取した試験で子宮内膜が厚くなる症状が見られた。この150ミリグラムを健康影響量とみなし、1日上限摂取量の目安を半分の70~75ミリグラムとした。
この「70~75ミリグラム」はアグリコンに換算した量で、例えば納豆なら約100グラム分に相当する。日本人が食品から取る大豆イソフラボンは平均して1日18~22ミリグラム。従って、サプリメントを取る場合、1日30ミリグラム以下なら上限を超えない、と食品安全委員会は目安量を示した。
ただ、久保田俊郎・東京医科歯科大学助教授(産婦人科)は「子宮内膜の厚さは月経の前後でも変わる。細胞を病理学的に見ていないので、どこまで悪影響を及ぼしたか不明だ」と指摘。同委員会は「70~75ミリグラムの上限はより安全を期して評価したもので、この値を超えて摂取したからといって危ないという意味ではない」と説明する。
◇サプリメント推奨根拠なし
気になるのは「妊婦や子どもに推奨できない」とした点だが、そもそも妊婦や乳幼児、小児が普通に食事から摂取する大豆イソフラボン量のデータ自体がない。妊娠中に大豆イソフラボンを取ると有益だという研究報告もないため、評価作業に携わった専門家の同委員会新開発食品専門調査会(上野川修一座長・委員14人)では「サプリメントを推奨するだけの根拠がない」と結論づけた。
ただし、同委員会は「大豆食品を食べてはいけないという意味ではない」と強調。世界中の国で大豆食品と疾患の関係を調べてきた家森幸男・京都大名誉教授は「疫学調査をしてきたが、大豆食品を取ると骨粗しょう症の予防になるなどよい結果ばかりだ」と話す。
大豆食品には、たんぱく質や鉄分、カルシウムなどが豊富に含まれる。評価は「妊娠中はあえてサプリメントを取る必要はない」という程度にとらえるのがよいようだ。
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◇大豆イソフラボンを特定保健用食品で追加摂取する1日あたりの上限目安
男性 30ミリグラム以下 *18ミリグラム
閉経前の女性 30ミリグラム以下 *16ミリグラム
閉経後の女性 30ミリグラム以下 *22ミリグラム
妊婦(胎児) 推奨できない *データなし
小児(15歳未満) 推奨できない *データなし
*の数値は、国民栄養調査から算出した大豆 食品から摂取する大豆イソフラボンの平均量
毎日新聞 2006年3月14日 東京朝刊
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